2011年スイス2大時計フェアレポート総括 トレンド編2011/08/31 16:31

グッチの「クーペ」。こんなレトロモデルも出てきました。

(これは2011年の1月、3月に開催されたスイス時計フェアに関するファッション業界誌「WWD Japan(ウイメンズ・ウエア・デイリー・ジャパン INFASパブリケーションズ発行)」掲載記事のベースとなった取材ノートの一部です。詳細をお読みになりたい方は同誌の5/16号 VOL.1633の「時計特集2011 スイス2大時計フェア:S.I.H.H. & BASELWORLD 総括『ルイ・ヴィトン』の“本気”は脅威になるか」をバックナンバーでご購入ください)

今年の時計界のトレンドは(1)ニューエイジ・レトロ(2)薄型シンプル(3)アフォーダブル&リーズナブルの3つだ。

1月のジュネーブサロン、3月のバーゼルフェアを通じて今年の新作腕時計に共通するトレンドは、ひとことで言えば「スイス時計の黄金時代・再発見」。具体的にはスイス製の機械式腕時計が技術力でもスタイルでも世界を席巻した1950年代のスタイルを、現代的な感覚で懐かしめにリファインしたというもの。また良心的な価格設定も大きなトレンドだ。

01 ニューエイジ・レトロ) 1950年代スタイルの再発見

 スイス2大時計フェアで今年、最も目立ったトレンドは、“見た目のインパクトよりもバランスの取れた美しさ”が印象的な1950年代に製造されたアンティークモデルをモチーフにした「レトロテイスト」なデザイン。過去の傑作のエッセンスを抽出して生まれた「控え目で上品」なキャラクターが、アンティークを知らない人にも、音楽のオールディーズのように「懐かしいけれど、好ましい」と感じさせさせる。

02 薄型&シンプル

薄型シンプルウォッチの再評価

 薄型で針が2本、ないし3本で機能もデザインもミニマムなモデルはこれまで、一部の時計愛好家にしか評価されないものだった。だがここ数年、クラシックなこの種のモデルの素晴らしさに気付く人が増え、秘かなトレンドに。そして今年は老舗&頂点ブランドが、この種の新作を“看板モデル”として発表している。

03 アフォーダブル&リーズナブル)

消費者もビックリの“お手頃価格”

 2008年までのスイス時計界は明らかにバブル。その何よりの証拠が、同じ内容のモデルでも毎年、パーツ等の価格高騰を理由に値上げされた。しかし2009年以降、状況は大きく変わった。  できるだけ消費者がアクセスしやすいお手頃価格のモデル、同じ価格でもスペックアップを図り実質的な値下げとも思えるモデルを各社が用意するようになった。そして今年、消費者にとってうれしいことに、その傾向はさらに強まった。30万円前後で魅力的なものが出てきたのはうれしい。